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新型コロナワクチン 首相の立場と個人の立場 | 実践!感染症講義 -命を救う5分の知識- | 谷口恭「医療プレミア」

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新型コロナワクチン 首相の立場と個人の立場 | 実践!感染症講義 -命を救う5分の知識- | 谷口恭「医療プレミア」

総合診療医の視点 -命を救う5分の知識- フォロー 新型コロナワクチン 首相の立場と個人の立場 谷口恭・谷口医院院長 2021年7月5日 保存保存 文字 印刷 大阪市が設置した新型コロナウイルスワクチンの「大規模接種会場」で問診室に入る人たち=大阪市住之江区で2021年6月7日午前10時11分,梅田麻衣子撮影  新型コロナウイルスのワクチンを打つべきか否か,子供にはどうすべきか――,ワクチンに関する問い合わせは増える一方です,私が院長を務める太融寺町谷口医院をかかりつけ医にしている患者さんだけでなく,医療プレミアを含むメディアでの私の発言を読んだ人たちからの問い合わせが相次いでいます, 私自身はすでに2回のワクチン接種を済ませ,当院のウェブサイトやメディアの取材記事で,ファイザー社及びモデルナ社製ワクチンの高い有効率について述べています,だから「ワクチン肯定派の谷口先生に質問が……」という表現をとる人がいます,一方で興味深いことに,私が書いたワクチンのリスクについての記事を読まれたからなのか「反ワクチン派の谷口先生は……」と書いている人もいます, 私が書いた同じ記事を読んだのにもかかわらず,人によって,私自身が「ワクチン肯定派」にも「ワクチン否定派」にもなってしまっていることがとても面白く感じられます,心理学で「選択的注意」と呼ばれる「人間は見たいものしか見ない」という説で説明できる事象かもしれません, さて,今回言いたいのは心理学の話ではなくて,ワクチンによる「対立」はどうすれば理解できるか,ということです,「賛成派対反対派」という対立の図式は非常に分かりやすく,ついつい我々はこのような考え方をしてしまいがちですが,このような対立がエスカレートすればますます社会は混乱し誰も得をしません(ウイルスだけがほくそ笑んでいるかもしれません), 人間関係の基本のひとつは「自分のことを理解してもらう前に相手のことを理解する」です,ですから,「自分が言っていることが正しいに決まっている,それに反対するやつらがおかしいんだ」という考えはたいていの場面で捨ててしまった方がいいわけです, ワクチンに関して言えば,あなたにとっての最重要事項は「あなた自身及びあなたの大切な人を守るために,接種を受けるべきか否か」でしょう,では,別の立場で考えれば,例えば感染症拠点病院の医師や,厚生労働省,あるいは首相の視点に立てばどうなるでしょうか,あなたが首相だったら  今回は「もしもあなたが首相だったら」という仮定に基づいてワクチン対策を考えてみましょう, 首相の最大のミッションが「最大多数の最大幸福」であることに異論はないでしょう,感染症で言えば「大勢の命を救うこと」となります,では,ワクチン接種を大勢の国民に受けてもらうときとそうでないときで,どれだけの差が出るのかを計算してみましょう, ワクチンなしの政策を続けたときにどれくらいの人が感染してどれくらいの人数が死亡するかについては,米国をモデルに考えてみましょう,米国は人口約3億3000万人で,すでに感染者が3400万人近く,死亡者は60万人を超えています,つまり,だいたい人口の1割が感染し,その約2%が死亡していることになります, 日本の人口は約1億2000万人ですから,今後ワクチンが普及しなければ,いずれ同様に約1割の1200万人が感染し,その2%にあたる24万人が死亡すると仮定します,「ファクターXのおかげで日本人は感染しにくく死亡しにくい」という声もありますが,「第4波」の恐ろしさを目の当たりにすると「日本人は……」などと言っていられないと考える人が増えてきています,また,たとえファクターXがあったとしても,日本の医療体制はすぐに逼迫(ひっぱく),そして崩壊し,入院したくてもできない人が(少なくとも大阪では)続出しました,ですから,楽観すべきでないという意見も強くなってきています,関連記事 <新型コロナワクチン 集団接種と診療所での接種> <新型コロナワクチン アナフィラキシーとは> <新型コロナワクチン 接種後の熱や痛みへの備え> <新型コロナ ワクチンを「パスポート」にする弊害> <新型コロナワクチンで「感染9割減」 イスラエル>  ワクチンの有効率については,発症防止に関しては有効率95%と言われていました,米食品医薬品局(FDA)が2020年12月に発表した報告では有効率が94.5%とされています, 一方,今年4月末までにワクチン接種を完了した米国人は約1億人おり,そのうち,接種後にもかかわらず新型コロナウイルスに感染したと報告があった人数は1万262人だったと,米疾病対策センター(CDC)が発表しています,これは接種者全体のわずか約0.01%です,ただし「接種後なのに感染した」と分かるのは,自発的に報告があった場合に限られるため,CDCは「おそらく,かなり過小な数字(likely a substantial undercount)」と位置付けています,それでもCDCの所長であるロシェル・ワレンスキー氏は「(ワクチンにより)重症化や死亡はほぼ100%(nearly 100%)防げる」と,ホワイトハウスでの記者会見でコメントしたそうです,日本人の7割がワクチン接種を受けると  さて,日本人の約7割(8400万人)がワクチン接種を受けたとしましょう,仮に米国のように,接種済みの人の0.01%が新型コロナに感染し,その2%が死亡すると仮定すると,ワクチンを接種しても感染して死亡するのは168人(8400万×0.01%×2%)になります, 一方,ワクチンを受けていない残り3割の国民(約3600万人)は,いずれ1割が感染し2%が死亡するとしましょう,すると,こちらの死者は7万2000人(3600万×1割×2%)になります, 次にワクチンの副作用(副反応)を考えましょう,過去のコラム「新型コロナ ワクチン接種はよく考えて」などで述べたように,ワクチン接種後まもなく死亡したとして厚労省に報告されている人数(ほぼすべて「ワクチンとの因果関係が評価できない」と考えられています)は,接種者100万人あたり十数人(最新のデータでは約16人)です, 8400万人にワクチン接種をした場合,「100万人に16人」を単純に適用すると,接種との因果関係がはっきりしない死亡者が1344人出るわけです,厳しく試算するため仮に,この死亡は全部,ワクチン接種が原因だと考えることにしましょう, ここまでをまとめると,仮に日本人全員がワクチン接種を受けなかった場合,国民の1割が感染し死亡率が2%だとすれば死亡者は24万人となります, 他方,国民の7割がワクチン接種を受けた場合,死亡者は7万3512人(7万2000人+168人+1344人)となります,経済活動が全面的に再開され,マスクを着けない客らでにぎわうショッピング街=米西部カリフォルニア州サンタモニカで2021年6月15日,福永方人撮影【国民全員がワクチン接種を受けない場合】 感染して死亡する人               24万人【国民の7割がワクチン接種を受けた場合】 接種を受けなかった3割のうち感染して死亡する人  7万2000人  接種を受けた7割のうち感染して死亡する人       168人  ワクチン接種との因果関係が評価できない死亡者    1344人  合計                       7万3512人  さて,もしもあなたが首相ならどのように考えるでしょうか,首相は国民一人一人の顔は見ていません,「最大多数の最大幸福」の視点から感染症を考えると,最重要事項は「死亡者を減らすこと」です 激安 ブランドコピー 国民の7割がワクチン接種を受ければ,ワクチンが普及しなかったときに比べて16万6488人(24万人ー7万3512人)もの命を救うことができます,ワクチンが普及しなければこの人たちを見殺しにすることになります,※編集部注  「最大多数の最大幸福」という原則に鑑みれば,公の立場の人たちは「できるだけ大勢の人にワクチンを打ってもらいたい=ワクチン肯定派」になるわけです,首相や厚労相だけではありません,公衆衛生学者や大きな病院の感染症医も同じように考えます,もしも現在の私のポジションがそういったものであれば,私自身も「肯定派」となり,このコラムの趣旨は「読者の皆さん,できるだけ接種を受けてください!」となります,患者個人と向き合う開業医として  ですが,現在の私はそういう立場にはいません,私自身は谷口医院をかかりつけ医にしている患者さんと日々向き合っている開業医です,よって,私にとって大切なのは国民全体ではなく目の前の患者さん一人一人です,これが,同じ医師であっても立場によって主張する内容が異なる理由です,ちなみに「PCR検査を増やすべきか否か」について医師によって言うことが異なる理由も,今述べた理由,すなわち「国民全体を考えるか,目の前の患者さんのことを考えるか」によって説明できます, さて,話を戻しましょう,ワクチンについてあなた自身はどう考えればいいのでしょうか,公の立場の人たちに喜んでもらうためにワクチン普及に協力すべきでしょうか,そう考える人ばかりではないでしょう, あなたやあなたの大切な人がワクチン接種を受けるとすれば,それは国のためではなくあなた方のためです,ですから,首相にとっての最大多数の最大幸福が実現されたとしても,その「最大多数」に入れなければあなた方は「幸福」ではないわけです(「国家のために殉死する」と考える人はまずいないでしょう), そこで個別のリスクを考える必要が出てきます,この連載で繰り返し述べているようにワクチンの基本は「理解してから接種を受ける」です,理解すべきなのはまず「リスク」と「ベネフィット(利益)」です,上で紹介した「接種を普及させる方が死者が減る」という試算は,日本国民全体を考えた時のものです,個人個人については,年齢,体重,これまでの病歴,飲んでいる薬,これまでのアレルギー歴,これまでのワクチンでの副作用歴,日ごろの健康状態,どの程度ウイルスにさらされやすい環境にいるか,などを考慮した結果,別の結論が出ることもあるでしょう, 次に考えなければならないのは「誰のために接種を受けるのか」です,あなた自身のためなのか,同居する高齢の家族のためなのか,仕事で接する高齢者のためなのか,そこまで考える必要があります, そして,もうひとつ考えるべきことがあります,それは「いつ接種を受けるか」です,おそらく新型コロナのワクチンは当分の間,無料で接種できると思われます,ですから,立場や環境によっては「今すぐ接種を受ける必要はない」という考えが出てくるかもしれません,首相の立場からは「犠牲者数を最小限にするために,できるだけ早く,できるだけ多くの国民に接種を受けてほしい」ですが,個人の視点からは「現時点では従来の予防策の徹底に努め,何カ月か後に再度安全性を確認してから接種を検討しよう」と考えてもかまわないわけです,   特に小児へのワクチン接種は「小児自身のため」というよりも「社会のため」という意味合いが成人や高齢者に比べて大きくなりますから,すべての子供たちが急いで接種を受けるのが望ましいのかどうかは,じっくりと検討すべきです, 最後にもう一度重要な点を繰り返します,首相は「国民全体」のことを考えます,一方,あなたが考えなければならないのはあなた自身とあなたの大切な人です,ワクチンのリスクとベネフィットをよく考え,誰のために接種を受けるべきなのかをはっきりとさせ,そして,接種するならいつが最適なのかを大切な人と一緒に改めて考えてみてください, ※編集部注 「この試算はワクチン接種に有利な数字を使ったのではないか」と考える読者もいるかもしれません,そこで,もっとワクチンに厳しい数字を仮定して試算をしてみます, まず,米国の現状をもとにした「ワクチン接種を受けない人の1割が感染,その2%が死亡」という仮定を,日本の現状に近づけ「受けない人の1%が感染,その2%が死亡」に変えてみます(日本の感染者数は6月28日現在,約80万人で,人口の1%に達していません), すると「全国民が接種を受けない場合の死亡者」は,谷口医師の試算にある24万人ではなく,10分の1の2万4000人になります, また「接種を受けない3割の国民」からの死亡者は スーパーコピー信用できるサイト 同様に7万2000人から ブランドコピーN級品 7200人になります, 次に「接種しても感染する」人の割合を,接種者の0.01%ではなく,10倍の0.1%にしてみます,CDCが「過小評価だろう」というのに対応した修正です,すると「接種を受けた7割の国民のうち感染して死亡する人」は168人の10倍に増え,1680人になります, まとめると「全国民が接種を受けない場合の死亡者」は2万4000人, これに対し「国民の7割が接種を受ける場合の死亡者」は,7200人+1680人+「ワクチンとの因果関係が評価できない死者」1344人で,計1万224人です, だいぶ差は縮まりましたが「7割が接種を受ける」ほうが,死者が約1万4000人少ないという結果になりました, 特記のない写真はゲッティ<医療プレミア・トップページはこちら>  【ご案内】 この記事を執筆している谷口恭医師が,7月15日に大阪市で一日講座を開きます,タイトルは「ウイルスとワクチンについて」です,オンラインでも同時中継します, 7月15日(木)午後7時から8時半まで,大阪市北区梅田3の4の5,毎日新聞ビル2階の「毎日文化センター」で,受講料は通常の講座,オンライン講座とも1650円です,なお,オンライン講座の受講には ブランド時計コピー ウェブからの事前申し込みが必要です,問い合わせ・通常の講座への申し込みは同センター(06・6346・8700)へ,関連記事 <新型コロナワクチン 集団接種と診療所での接種> <新型コロナワクチン アナフィラキシーとは> <新型コロナワクチン 接種後の熱や痛みへの備え> <新型コロナ ワクチンを「パスポート」にする弊害> <新型コロナワクチンで「感染9割減」 イスラエル> 投稿にはログインが必要です,谷口恭 フォロー 谷口医院院長 たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ,91年関西学院大学社会学部卒業,4年間の商社勤務を経た後,大阪市立大学医学部入学,研修医を終了後,タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事,同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け,帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属,その後現職,大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師,主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める,日本プライマリ・ケア連合学会指導医,日本医師会認定産業医,労働衛生コンサルタント,主な書籍に,「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社),「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社),「医学部六年間の真実」(エール出版社)など スーパーコピー通販 谷口医院ウェブサイト 月額110円メルマガ<谷口恭の「その質問にホンネで答えます」>を配信中,  連載:総合診療医の視点 -命を救う5分の知識- 前の記事 新型コロナワクチン アナフィラキシーとは 次の記事 新型コロナワクチン 若者は接種を受けるべきか 注目コンテンツ
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