総合診療医の視点 -命を救う5分の知識- フォロー 新型コロナ ワクチン後の症状が長引く人たち 谷口恭・谷口医院院長 2021年11月8日 保存保存 文字 印刷 香川県が設けた大規模接種会場「県広域集団接種センター」の各ブースで,順番に新型コロナワクチンの接種を受ける人たち=高松市幸町の香川大で2021年8月2日午前10時51分
偽物ブランド 潟見雄大撮影 新型コロナウイルスに感染すると,無事回復しても,後遺症が残ることがある,このことはすっかり定着しました,では,新型コロナワクチンの接種を受けた後はどうでしょう,私が院長を務める太融寺町谷口医院(以下「谷口医院」)には,このところ「接種後に体調不良に陥り,1カ月たっても回復しきらない」というような相談が相次いでいます,海外の論文を調べても同様の報告はないのですが,日本では,ワクチンの影響は数カ月くらいは残ることがあるのかも,と思わせるデータが出始めています,新型コロナの後遺症 新型コロナが流行しだしてまだ間もない2020年3月下旬,私は,谷口医院に長年通院している40代の女性から相談を受けました
ブランド財布コピー 女性は「新型コロナに感染したと思う,その後1カ月がたつのに息苦しさとだるさがとれない」と言いました,感染したと「思う」というのは,当時はかなり重症化しない限りは検査を受けられなかったからです, 症状だけからコロナの診断をつけることはできませんが,昨年2月中旬,この女性は,ご主人と,海外から帰国した知人との3人で会食をし,数日後に微熱と倦怠(けんたい)感,せきに見舞われました,ご主人にも同様の症状が出現し,2人で保健所に相談したものの「軽症だから」と言われて検査を受けることができませんでした,しばらくしてご主人は回復しましたが,女性の症状はその後数カ月間続きました, この当時は新型コロナのPCR検査を受けるには保健所の許可が必要であり,許可が出るのは重症患者のみに限られていました,精度の高い抗体検査も存在せず,感染しているのか,あるいは感染していたのかを知るすべはありませんでした,しかし,この女性と同じように「新型コロナと思われる症状が出現し,その後何らかの症状が残る」という訴えが目立つようになり,私はそれを「ポストコロナ症候群」と名付けました,本連載で初めて触れたのは20年5月12日の「新型コロナ 治療後に健康影響の懸念」です, 「ポストコロナ症候群は存在する」と私が確信したのは,似たような症状を聞く機会が増えてきたからだけではありません,同時期に海外(特に欧州)から同じように,感染後の後遺症の報告が相次ぐようになり,それが確証の根拠となったのです,当初私はその原因を「体内に血栓ができるため」と考えていました,しかし,血栓形成を示す検査結果が出なくなった後も症状が残る事例が多いことから,今では別の要因を考えています(参考:「新型コロナ 後遺症の原因は『脳の酸素不足』か」),起きるメカニズムはともかく,ポストコロナ症候群の存在を否定する人は,今ではほとんどいないでしょう,では「新型コロナワクチン接種後」の後遺症についてはどうでしょう,倦怠感で「出社できなかった」経営者 21年7月上旬,40代のある男性が受診しました(なお,本事例を含む患者さんの詳細についてはプライバシー保護の観点から細部に変更を加えています,また誤解と混乱を防ぐためワクチンの製造会社名は伏せておきます), 【事例1】40代男性 職業:会社経営 7月上旬,新型コロナワクチンの接種を集団接種会場で受けた,翌日から,これまでに経験したことのないような倦怠感が生じ,日常生活も維持できなくなった,出社もかなわず,数日に1度,自宅から部下に指示を出すのが精いっぱい,何らかの病気になったのかもしれないと考え,複数の医療機関を受診した,さらに人間ドックでフルコースの検査を受けたものの,どこに行っても「異常はない」と言われた,行くあてがなくなり谷口医院を初めて受診することとなった, 一般に,何かのワクチン接種を受けた後には,しばらく身体の不調を訴える人がいます,たとえばインフルエンザワクチンやHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンなどでも,そうしたことはあります,ですが,たいていは軽症であり,さほど長続きしません,なかには「おそらくその症状はワクチンとは関係ないだろう」と思われるケースもあります,特に,日ごろから不安感が強い人やナイーブな人からそのような訴えを聞くことはよくあります, しかし,この男性は谷口医院初診とはいえ,話し方や社会背景から少々のことでは弱音を吐かないタイプであると思われます,男性は「原因はワクチン以外には考えられない」と言います,関連記事 <新型コロナ ワクチンで重症化を免れる人,心配な人> <新型コロナ デルタ株対策にワクチン後もマスクを> <新型コロナ 薬局で買える「医療用」検査> <新型コロナワクチン「四つの視点」 谷口恭氏講演> <新型コロナ 自宅療養者の医療確保を> この男性の後も,次々とワクチン接種後の後遺症を訴える人が出てきました,もっとも,接種翌日にはほとんどの人に何らかの副作用(ワクチン後の症状を「副反応」と呼ぶ場合がありますが,本コラムでは副作用で統一します)が出現しますから,例えば接種後5日間にわたる発熱と倦怠感は後遺症とまでは言えません,ですが,それが2週間,さらには4週間も続けば単なる副作用ではなく「後遺症」と呼ぶべきでしょう,海外からの報告はなし 何人かの患者さんを診るにつれ,私は1年半前のポストコロナ症候群を思い出しました,先述したように,私にそれを確信させたのは海外からの報告です,そこで,今回はワクチン接種後長期にわたる後遺症を「ポストコロナワクチン症候群」と(勝手に)命名し,海外での報告を探すことにしました, ところが,ないのです,接種直後の副作用についての論文やリポートはいくらでも見つかるのですが,長期,具体的には1カ月以上にわたる後遺症についての報告が見当たりません,ということは私が診ている患者さんたちは,本当はたいしたことがなくて「気のせい」や「単なる思い込み」なのでしょうか,とてもそうとは思えません,例えば次のような方もいます, 【事例2】20代女性 職業:フィットネスクラブのインストラクター ワクチン接種を受けた翌日から倦怠感,頭痛,動悸(どうき)が出現,翌々日から左わきの下のリンパ節が腫れた(ワクチンは左上腕に接種),2週間経過しても改善しないため谷口医院を受診した(なお,谷口医院ではワクチン接種を実施しておらず,集団接種会場での接種を勧めています),2週間経過後もリンパ節が腫れているのは触診上も明らかで,超音波検査でも皮膚の下でリンパ節が大きくなっていることが確認できた,また,診察の途中で動悸が始まり,心電図をとると波形は正常なものの心拍数が明らかに上昇しており,頻脈(脈拍が速くなった状態)が突然,生じたのは自明だった,つまり「気のせい」ではない, ◇ありそうな「長期の影響」 読売新聞によると,聖路加国際病院(東京都中央区)の研究チームの調査で,新型コロナのワクチン接種後の女性の4割もが,わきの下のリンパ節が腫れる副作用が2カ月持続しているそうです, 4割が2カ月,とは驚くべき数字です,谷口医院の女性の患者さんで言えばここまで多くはないのですが,この記事が出てからワクチン接種後の女性患者さんに尋ねてみると,数名の女性は「他に症状がないし,さほど気にならないけども,わきにしこりが触れる」と言います,リンパ節の腫れが起こったからといって,それが必ずしも有害というわけではありませんが,他のワクチンで,これほどの割合で2カ月にわたりわきの下のリンパ節が腫れることは考えられません,ポストコロナワクチン症候群という後遺症が存在するかどうかは別にしても,リンパ節の腫れがこれだけ続くということは,ワクチンが長期間にわたり何らかの影響を及ぼしていると考えるべきでしょう,大半は徐々に改善 さて,問題は予後(いったん後遺症が出た後の経過)です,谷口医院の患者さんで言えば,外出が困難になるほどの後遺症があったとしても,大半は1カ月が過ぎる頃には徐々に改善してきています,少なくとも,次第に悪化しているという人は今のところ一人もいません
ブランドコピーN級品 ですが,事例1のように仕事に完全復帰できない人や,1カ月たってもキャンパスに戻れない大学生もいます,飲食店への営業時間短縮要請が解除され,繁華街を歩く人たち=東京都港区で2021年10月25日午後7時25分
ブランドバッグコピー 小川昌宏撮影 ポストコロナワクチン症候群については問題がまだあります,おそらく後遺症を訴えて医療機関を受診している人は全国に多数いるはずです,ですが,その中でどれだけの人数が国に届け出られているかが疑問なのです,谷口医院では,一つの目安として症状が2週間以上持続する事例については,患者さんの許可をとった上で,独立行政法人の「医薬品医療機器総合機構」(PMDA)に報告しています(報告書には実名も記入しなければなりません),それでも,おそらく報告されているのはごく一部だと思われます,そもそも「前の病院では『ワクチンとは無関係,単なる気のせい』と言われた」ために,谷口医院を受診しているという人も少なくないのです, 私が診ている範囲では今のところ,ワクチンの後遺症が生じた人全員が,少しずつ回復傾向にはあります,しかし,完治しているとは言えない人や,完全回復に1カ月以上かかっている人もいるわけです,こういう人たちは「3回目のワクチン接種は受けたくない」と言います, 【ご案内】 この記事を執筆している谷口恭医師が,12月9日に大阪市で一日講座を開きます,タイトルは前回(今年7月)の講座と同様に「ウイルスとワクチンについて」です,オンラインでも同時中継します, 12月9日(木)午後7時から8時半まで,大阪市北区梅田3の4の5,毎日新聞ビル2階の「毎日文化センター」で,受講料は通常の講座,オンライン講座とも1650円です,なお,オンライン講座の受講には,ウェブからの事前申し込みが必要です,問い合わせ・通常の講座への申し込みは同センター(06・6346・8700)へ, <医療プレミア・トップページはこちら> 関連記事 <新型コロナ ワクチンで重症化を免れる人,心配な人> <新型コロナ デルタ株対策にワクチン後もマスクを> <新型コロナ 薬局で買える「医療用」検査> <新型コロナワクチン「四つの視点」 谷口恭氏講演> <新型コロナ 自宅療養者の医療確保を> 投稿にはログインが必要です,谷口恭 フォロー 谷口医院院長 たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ,91年関西学院大学社会学部卒業,4年間の商社勤務を経た後,大阪市立大学医学部入学,研修医を終了後,タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事,同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け,帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属,その後現職
ブランドコピー 安全なサイト 大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師,主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める,日本プライマリ・ケア連合学会指導医,日本医師会認定産業医,労働衛生コンサルタント,主な書籍に,「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社),「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社),「医学部六年間の真実」(エール出版社)など,谷口医院ウェブサイト 月額110円メルマガ<谷口恭の「その質問にホンネで答えます」>を配信中, 連載:総合診療医の視点 -命を救う5分の知識- 前の記事 新型コロナ ワクチンで重症化を免れる人,心配な人 次の記事 新型コロナ 「ただの風邪」にするのに残る課題 注目コンテンツ