総合診療医の視点 -命を救う5分の知識- フォロー 新型コロナ デルタ株対策にマスクの効果増強を 谷口恭・谷口医院院長 2021年9月6日 保存保存 文字 印刷 緊急事態宣言が発令され,マスク姿でJR大阪駅前を行き交う人たち=大阪市北区で2021年8月2日午前8時35分,山田尚弘撮影 「すれ違っただけでも(新型コロナウイルスに)感染するって本当ですか?」「マスクをしていても友達に会えないって本当ですか?」などなど,誰が言い出したか分かりませんが,このような怪しげな“情報”が独り歩きして社会が混乱しています,大阪では,7月下旬から8月にかけて「阪急阪神百貨店」傘下の2店舗,つまり阪神梅田本店(大阪市北区)と,すぐ近くの阪急うめだ本店(同)で,いずれも地下の食品売り場を中心に集団感染が起こりました,お客も従業員も全員がマスクをしていたはずなのに,です, 現在日本を含めた世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルスの変異株「デルタ株」の感染力が従来のタイプよりも強いのは事実です,最新の見解では,デルタ株の感染力はアルファ株に比べて1.6倍,変異前の新型コロナウイルスと比べるとおよそ2倍の感染力を有するであろうと言われています(例えばロイター通信の記事Delta cases show 300 times higher viral load - S.Korea study ), さらに,ワクチン接種を受け終えた人が感染する「ブレークスルー感染」も思いの外多いことが分かってきています,そして,前々回述べたように期待の新薬ロナプリーブは,現在の規則ではたとえ濃厚接触があったとしても予防投与は認められていません,では,この感染力の強いデルタ株に対して,ワクチン接種を受ける以外に我々にできることはないのでしょうか,デルタ株対策として「できること」 答えは「できることはある」です
ブランドコピーN級品 サージカルマスク(医療用マスクや市販の不織布マスク)を着け,そして後述するように着用時にちょっとした工夫をすれば,かなりの高確率で感染を防ぐことができるのです,しかし,それを詳しく述べる前に,阪神と阪急の両店でなぜ大規模集団感染が起こったのかについて私見を述べたいと思います, 私が感染者の聞き取りや調査をしたわけではなく,この私見にはエビデンス(医学的証拠)があるわけではありません,しかし,私自身,新型コロナが流行しだした2020年2月以降,阪神・阪急両店に何十回も足を運んで現場を見ています,というのも,どちらの百貨店も太融寺町谷口医院から徒歩10分程度の距離にありますから,百貨店自体に用事がなかったとしても,入り口の前を通ることが月に何度もあるのです,その時に人の動きを観察しています,入り口には係員が立っていて,お客全員に手指消毒を促し,体温測定も実施しています,もちろん,マスクを着用していなければ入店が認められません(マスクなしだと係員に制止されるでしょう), しかし両店とも,マスクの種類まではチェックしていないのです,私の印象で言えば,お客全体の2~3割くらいは
ブランドスーパーコピー時計 ポリウレタンマスクもしくは布マスクを着けています
偽物時計 私自身も“実験”してみました,両百貨店にネックゲートルだけを着用した状態で入れるかどうかを試してみたのです,結果は,なんといずれの百貨店にも,何もとがめられずに入れてしまいました,入店させてもらってから言うのも失礼ですが,これは非常に大きな問題だと思います,阪神梅田本店が全館営業を再開し,入場制限の看板を設置する従業員=大阪市北区で2021年8月20日午前9時55分,木葉健二撮影 サージカルマスクは有効だが 今回はポリウレタンマスクや(重ねていない)布マスクがいかに脆弱(ぜいじゃく)かということを示したいのですが,その前にサージカルマスクの有効性について確認しておきましょう,過去のコラム「新型コロナ 感染は『サージカルマスク』で防げる」で,香港大学で実施されたマスクとウイルスの実験を紹介しました,インフルエンザウイルスやライノウイルスはマスクをしていてもウイルスが呼気に漏出するのに対して,コロナウイルスの場合はサージカルマスクをしていれば,呼気の中の飛沫(ひまつ,直径1000分の5mm以上)はもちろん,エアロゾル(直径1000分の5mm以下)にもウイルスがまったく含まれていなかったのです, これはものすごく大きな意味があります,この研究のおかげで「コロナはマスクをしていれば感染させない」ことが分かったのです,ただ,この研究には「限界」があります,その最大の理由は,実験に参加した人数が少ないことです,実験を繰り返していけばそのうちに,呼気に排出されるウイルスが検出されることもあるでしょう,そして,わずかでもウイルスがマスクの外に飛び出した場合,デルタ株のように感染力が極めて強いタイプであれば他人に感染させる可能性が出てきます,また,そもそもすべての人がマスクを“適切に”装着しているわけではありません, とはいえ
スーパーコピー激安 サージカルマスクをきちんと着用すれば,他人に感染させる可能性が極めて低いのは事実です,デルタ株といえども同じコロナウイルスですから,ウイルスの大きさが変わるわけではないのです,関連記事 <新型コロナ デルタ株対策にワクチン後もマスクを> <新型コロナ 自宅療養者の医療確保を> <新型コロナ 被災時や避難時の対処法> <新型コロナ 新しい抗体医薬は「特効薬」になるか> <新型コロナワクチン「四つの視点」 谷口恭氏講演> では,他の種類のマスクをみてみましょう,「東洋経済ONLINE」の2月3日の記事「実験で新事実『ウレタンマスク』の本当のヤバさ」は,国立病院機構仙台医療センターの西村秀一医師の研究結果を掲載しています,各マスクがどれくらい小さな粒子を除去できるかが調べられており,このグラフをみれば一目瞭然です,1000分の0.3~0.5mmの粒子を除去できる割合は,N95マスクとサージカルマスクが9割以上なのに対し,布マスクは2割弱,そしてポリウレタンマスクはなんとほぼゼロです! つまり,ポリウレタンマスクの感染予防効果はほぼ「ない」のです, では,全員がサージカルマスクを常に着用しなければならないのでしょうか,また,本当にサージカルマスクだけで感染をほぼゼロにできるのでしょうか, まずは常に着用すべきかについて考えていきましょう,私自身は過去のコラム「新型コロナ 快適な布マスク 効果を増す工夫は」でも述べたように,常にサージカルマスクを着用しているわけではありません,そのコラムの写真で紹介したようにランニング時にはネックゲートルだけですし,人通りの少ない外を歩くときにもネックゲートルだけにしていることがほとんどです,ただし,電車に乗るときや地下街を歩くときはサージカルマスクに交換します,ネックゲートルでは感染予防の効果が期待できないからです,「ダブルマスク法」と「ノット&タック法」 そして,スーパーや百貨店など屋内に入るときはサージカルマスクの上からネックゲートルを着用します,こうすることにより,サージカルマスクと皮膚の隙間(すきま)がぐっと狭くなるのです,この方法,つまりサージカルマスクの上からもう1枚マスクを着用する方法を「ダブルマスク法」と呼ぶことにしましょう(写真参照), マスクを複数用意するのは面倒くさいと考える人もいるでしょう,そのような方には別の方法をお伝えしたいと思います,そして,それは私が診察時に行っている方法でもあります,その名前は「ノット&タック法」,ノットは英語で結び目のこと,タックはズボンのタック(ひだ)と同じタックです,マスクのひもを根本でぐっと結んで
ブランド激安市場 マスクの両端を細くまとめてしまう方法(写真参照)です,こちらも同様に,マスクと皮膚の隙間が大きく減少します,<左>ノット&タスク法でサージカルマスクを着けた谷口医師<右>サージカルマスクの上からネックゲートルを着けた谷口医師=いずれも本人提供 では,ダブルマスク法,ノット&タック法は本当に有効なのでしょうか,実は,これらが非常に有効であることは米疾病対策センター(CDC)がすでに実験で証明しています,CDCによれば,お互いがサージカルマスクを着用し,さらにダブルマスク法,もしくはノット&タック法を併用すれば,1.8m離れた距離で,相手から自分に届く,大きさ1000分の0.1mm~7mmの粒子の約96%をカットできるのです, CDCのこの実験によれば,お互いがサージカルマスクを通常の使用方法で着用しているだけでも84.3%もの粒子をカットできます,これだけでもかなり高いと言っていいのではないでしょうか,そして,ダブルマスク法かノット&タック法を取り入れればそれが96%まで上昇するのです,1.8mの間隔で向かい合った際に,相手が呼気とともに吐き出した微粒子が,自分のところに届くまでにマスクで除去される割合,米疾病対策センターがウェブサイトに記載した模擬実験の結果を,谷口恭医師が表にまとめた 繰り返しますが,感染力の強いデルタ株であろうとウイルスのサイズが変わるわけではありません,ただし,感染力が強いということは,ウイルスを含んだエアロゾルが長時間にわたり長距離を浮遊していることが予想されます,ならば,他人がいる屋内では,各自がダブルマスク法かノット&タック法を取り入れたサージカルマスクの着用を徹底すれば,感染リスクは大きく減少するというわけです, <医療プレミア・トップページはこちら> 関連記事 <新型コロナ デルタ株対策にワクチン後もマスクを> <新型コロナ 自宅療養者の医療確保を> <新型コロナ 被災時や避難時の対処法> <新型コロナ 新しい抗体医薬は「特効薬」になるか> <新型コロナワクチン「四つの視点」 谷口恭氏講演> 投稿にはログインが必要です,谷口恭 フォロー 谷口医院院長 たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ,91年関西学院大学社会学部卒業,4年間の商社勤務を経た後,大阪市立大学医学部入学,研修医を終了後,タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事,同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け,帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属,その後現職,大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師,主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める,日本プライマリ・ケア連合学会指導医,日本医師会認定産業医,労働衛生コンサルタント,主な書籍に,「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社),「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社),「医学部六年間の真実」(エール出版社)など,谷口医院ウェブサイト 月額110円メルマガ<谷口恭の「その質問にホンネで答えます」>を配信中, 連載:総合診療医の視点 -命を救う5分の知識- 前の記事 新型コロナ 「5類」に格下げできない三つの理由 次の記事 新型コロナ 大人のワクチン接種は「子供のため」 注目コンテンツ