総合診療医の視点 -命を救う5分の知識- フォロー 新型コロナ ワクチン接種後もマスクを使う理由 谷口恭・谷口医院院長 2021年7月26日 保存保存 文字 印刷 4回目の緊急事態宣言が発令され,マスク姿で通勤する人たち=東京都中央区の東京駅八重洲口で2021年7月12日午前8時25分,長谷川直亮撮影 前々回と前回にもお伝えしたように,米国では新型コロナウイルスのワクチンを2回接種すれば発症する確率はわずか0.01%であり,米疾病対策センター(CDC)の所長であるロシェル・ワレンスキー氏は「重症化や死亡はほぼ100%防げる」とコメントしています,さらに,英国紙The Guardianによると,米国立アレルギー感染症研究所の所長アンソニー・ファウチ博士は
コピー時計 N級品 6月に死亡した米国のコロナ患者の99.2%がワクチン未接種であったと述べています, 他方,英国では健康社会福祉大臣のSajid Javid氏が「国民の健康を守る最善の方法は,コロナに関する主な制限を解除すること」とコメントしたそうです,(The Guardian 7月4日の記事より)
ブランドコピー時計 ここで言う「主な制限の解除」とは,マスクの義務化を撤廃し,人々の行動をコロナ前の世界に近づけることを言います,氏は「(ロックダウンなど)我々が実施しなければならなかった規則によって,家庭内暴力が驚くほど増加し,非常に多くの人々の精神的健康が極めて悪化した」と述べています,欧州で進む「マスク外し」 欧州ではマスクの義務化をなくす国や地域が増え,イタリアやスペインの観光地ではマスクをしない観光客でにぎわっていると聞きます,イタリアでは国民の52%が少なくとも1回のワクチン接種を終え,6月28日からは屋外でのマスク着用義務がなくなったことが報道されました, 日本でも,ついに東京オリンピックが開幕し,ワクチンが普及することにより元の世界に戻れるのではないかという楽観論も登場しています,太融寺町谷口医院の診察室には,長らく延期していた観光や留学の具体的な計画を立て始める患者さんが増えてきています, 医療者の間でもこの傾向は明らかで,特に医療者は大多数がすでにワクチンの2回接種を終えていますから「自分たちは感染しない(しても軽症)」と考えて,つい最近までの「いつ自分が感染するかもしれない」という緊張感から解放されつつあります
コピーブランド靴 以前からしばしば取り上げられていた「新型コロナの扱いを,感染症法上の2類(1類)から5類へ(格下げ)」という議論も再び浮上してきています,新型コロナをインフルエンザと同じ扱いにすべきではないかという考えです,(参照:「新型コロナ 『インフル並み』の扱いは困難」)屋外での着用義務はなくなったが,意外とマスクをする人が多いパリの街角=2021年7月3日,久野華代撮影 日本では「時期尚早だ」 ですが,「新型コロナはインフルエンザとはまったく異なる感染症,マスク撤廃は時期尚早だ」というのが私の考えです, デルタ株とも呼ばれるインド由来の変異株は,従来の新型コロナよりも感染性が強く重症化しやすいことが分かっています,そして,日本の水際対策をあざ笑うかのようにいとも簡単に日本に上陸し,すでに国内で猛威を振るい始めています, 頼みのmRNAワクチン(ウイルスの遺伝子の一部を使ったワクチン)は,感染予防にある程度は有効ですが,イスラエル保健省の発表によれば,発症を防ぐという意味での有効率は,従来の95%から64%に低下しています,ただ,それでも重症化防止という意味での有効率は93%とされたので
ブランドコピー財布 楽観する意見もあります,しかし,それは考え直した方がいいかもしれません,過半数がワクチン接種後も感染者増える英国 英政府のウェブサイトによると,英国では7月21日現在,延べ8200万回余りのワクチンが接種されました,2回接種が終わった人は約3600万人に達しています,英国の人口は約6700万人ですから,国民の半数以上が2回のワクチン接種を終えたことになります, 一方で同じウェブサイトの別のページをみると,英国の1日の新規感染者数は,5月上旬に2000人弱まで減った後,増加に転じており,7月中旬には5万人を超えています,関連記事 <新型コロナワクチン 首相の立場と個人の立場> <新型コロナワクチン「四つの視点」 谷口恭氏講演> <新型コロナ ワクチンを「パスポート」にする弊害> <待望の夏休みと新型コロナ変異株 人々の思いは> <コロナ禍の五輪 デンマーク国内の反応と注目競技> そして1日の新規入院者数は,5月半ばに約100人まで減った後,やはり増加に転じ,7月中旬には700人程度になっています,新規感染者数と比べればゆるやかな増え方ですし,1月のピーク時に1日4000人以上が入院していたのと比べればまだ少ないですが,それでも新規入院者が増えていることは確かです, 入院が必要なのは一般に「重症化したから(しそうだから)」です,ということは,ワクチンが重症化をかなりの程度まで予防するのが事実だとしても,社会全体でみれば重症者を減らすことに成功しているとは言い難いわけです,その最大の理由は「ワクチン未接種者が少なくないから」でしょう,ですが,ワクチンを全員に強要することはできません, ここで,改めてインフルエンザと新型コロナの違いを考えてみましょう,新型コロナはインフルエンザに比べ,少なくとも中高年以上であれば,重症化しやすくて致死率が高く後遺症を残しやすいのは間違いありません,ですが,それだけではありません,私が考えるこれら二つの感染症の最大の違いは「特効薬の有無」です, インフルエンザの場合,ワクチン普及率は十分に高いとはいえない地域や国があります(日本もそのひとつです),けれども,我々がインフルエンザをさほど脅威と思わない理由は,小児や高齢者,持病を持っている人など免疫能が低下している人を除けば,入院を要するほど重症化する可能性はほとんどなく,たとえ重症化しそうになったとしても抗インフルエンザ薬に頼ることができるからです, このため,従来のインフルエンザが変異した鳥インフルエンザがヒトからヒトに感染するようなことがあれば,最大の関心事項は既存の抗インフルエンザ薬が効くかどうかです,2009年にメキシコを発端とした新型インフルエンザが流行したとき,我々は初期の時点では恐怖におののきましたが,やがて既存の薬が有効であることが分かり安心することができました,新型コロナの「特効薬」はまだない 一方,新型コロナの場合,有効薬があるとはいえません,現在有効性が認められている薬の一つ「デキサメタゾン」(ステロイド)は,ある程度重症化してからそれ以上の重症化を防ぐために用いるものであり,初期の段階で使うものではありません,別の薬の「レムデシビル」は日本で新型コロナ感染者への使用が承認されていますが,世界的には効果を疑う意見もあります,そのため世界保健機関(WHO)は効果があるとは認めていません,そもそもレムデシビルは感染初期に使えば期待できますが,高価であり,使用するには入院が必要ですから,患者全員に使うことはできません,これは米国で使用されている抗体医薬(参照「新型コロナ トランプ氏が使った薬とは?」)でも同様です,日本で4月に承認された関節リウマチや重症のアトピー性皮膚炎の薬「バリシチニブ」は,内服薬ですからレムデシビルよりも使いやすいのが利点ですが,1錠5000円以上する高価な薬であり,やはり使用の対象は入院患者に限られています,済生会滋賀県病院の廊下に椅子が一列に並べられ,新型コロナウイルスワクチンの職域接種が行われた=同県栗東市大橋2で2021年7月3日午後3時3分,庭田学撮影 一時,期待された薬「アビガン」は日本で承認されていません,最近よく話題にあがる,ノーベル賞受賞の大村智先生が開発された薬「イベルメクチン」は新型コロナに対して効果があるというエビデンス(医学的証拠)がなく,特効薬とは言えません,私自身は漢方薬を勧めていることを過去の連載「新型コロナ 効く薬が出る見通しは」で述べましたが,これは感染の超初期にしか期待できません, もしも日本で今後ワクチン接種が進み,国民の7割が接種したとしましょう,さらにワクチンを接種してなお感染する人でも,重症化は防げるとしましょう,ですが,有効な薬がない以上,ワクチン接種を受けていない3割(約3600万人)の人が感染したときには,数日後には帰らぬ人となるリスクは変わらないわけです,接種後でも他人にうつす可能性 仮にあなたが2回のワクチン接種を受け終えたとしましょう,そして,デルタ株が日本で広がったとしましょう,ワクチンは,64%の有効率で発症のリスクを下げることができますし,発症したとしても重症化しないことが期待できます,ですが,他人に感染させるリスクが下がるかといえば,おそらくある程度は下がるでしょうが,英国の現状に鑑みるとゼロにはできないと考えるべきです,ということは,自分が感染しても気づかず,症状は出ないか,出てもごく軽くすみ,しかし飛行機の中であなたの前の席に座っていた元気な老夫婦や,レストランであなたの横のテーブルで食事を楽しんでいた家族連れにうつしてしまい,その人たちは数日後には重症化し……となる可能性があるわけです, 冒頭で,欧州ではマスクを撤廃する動きが広がっていると述べましたが,これは屋外での話です,依然屋内ではマスクの義務化が続けられている国や地域が多いことを忘れてはなりません, <医療プレミア・トップページはこちら> 関連記事 <新型コロナワクチン 首相の立場と個人の立場> <新型コロナワクチン「四つの視点」 谷口恭氏講演> <新型コロナ ワクチンを「パスポート」にする弊害> <待望の夏休みと新型コロナ変異株 人々の思いは> <コロナ禍の五輪 デンマーク国内の反応と注目競技> 投稿にはログインが必要です,谷口恭 フォロー 谷口医院院長 たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ,91年関西学院大学社会学部卒業,4年間の商社勤務を経た後,大阪市立大学医学部入学,研修医を終了後,タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事,同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け,帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属
激安 ブランド その後現職,大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師,主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める,日本プライマリ・ケア連合学会指導医,日本医師会認定産業医,労働衛生コンサルタント,主な書籍に,「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社),「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社),「医学部六年間の真実」(エール出版社)など,谷口医院ウェブサイト 月額110円メルマガ<谷口恭の「その質問にホンネで答えます」>を配信中, 連載:総合診療医の視点 -命を救う5分の知識- 前の記事 新型コロナワクチン「四つの視点」 谷口恭氏講演 次の記事 新型コロナワクチン 接種の有無で生じる格差 注目コンテンツ