総合診療医の視点 -命を救う5分の知識- フォロー 新型コロナ 「私は後遺症」と悩む患者は5タイプに分けられる 谷口恭・谷口医院院長 2022年5月30日 保存保存 文字 印刷 新型コロナウイルスの感染状況を示す「大阪モデル」が4カ月半ぶりに「緑信号」になり,緑色にライトアップされた通天閣=大阪市浪速区で2022年5月23日午後7時15分,望月亮一撮影 前回のこのコラム(新型コロナ 取り残される「免疫能が低下した人たち」)では,新型コロナウイルス感染症を恐れる人が減りつつある現在でもなお,「新型コロナが恐怖となる人=免疫能が低下している人」の話をしました,世間の「新型コロナ終わった感」はますます加速しているようで,「まだコロナ,コロナって言ってるの?」という言葉を口にする人すらいます,そういう言葉こそが免疫能が低下している人を傷つける,という話も前回しました, 今回取り上げるのも,依然として新型コロナに苦しめられている人たちの一部で「ポストコロナ症候群で苦しむ人たち」です,新型コロナの後遺症については,国内外で「long Covid」という表現が人口に膾炙(かいしゃ)してきましたが,私としては,後述するような理由から「ポストコロナ症候群(Post Covid syndrome)」の方がいいと考えています,「後遺症の存在」を2年前に確信 私が,新型コロナには後遺症が存在するに違いない,と確信したのは2020年の春,以前から太融寺町谷口医院をかかりつけにしているある患者さんから相談を受けたときでした,実は,その患者さんの前にも,不安な様子で「新型コロナにかかったに違いない,感染した後,症状が続いている」と訴える人はそれなりにいたのですが,単なる不安感からくる不定愁訴であることが多かったのです(「不定愁訴」とは,患者さんには頭痛や疲労感などさまざまな自覚症状があるけれど,検査をしても異常が見つからない場合に,医師がよく使う診断名です),ところがこの患者さんは長年の診察から判断してそのようなことを言いだすタイプではありません, そこで私は「新型コロナには後遺症があるに違いない」と考えました,そして「ポストコロナ症候群」という病名を勝手に命名し,本連載に掲載したのが20年5月12日の記事「新型コロナ 治療後に健康影響の懸念」です,そしてその後,多くの患者さんを診察するなかで
コピーブランド服 長期にわたり持続する症状は倦怠(けんたい)感と抑うつ感が多いことから,それらは酸素不足から起こった脳の細胞の炎症ではないかと考え,まとめた記事が「新型コロナ 後遺症の原因は『脳の酸素不足』か」でした, さらにその後,長期間にわたり症状を訴えるのは中年女性に多いこと,既存の病気「慢性疲労症候群」に病態が似ていることから,「似ているというよりも同じ疾患なのではないか」と考えるようになりました,つまり,新型コロナ感染により,後遺症というよりも,慢性疲労症候群そのものが起こるのではないか,という考えです,これをまとめた記事が「新型コロナ 後遺症の正体は『慢性疲労症候群』か」です,後遺症を5種類に分類 慢性疲労症候群と同様,コロナ後遺症も実態の捉えにくいものとなってきました,周囲から理解されず,「気持ちの問題だ」とか,なかには「仮病だ」と言われて傷ついている人もいます,本来なら頼りになるはずの医師からも「それは心因性でコロナとは関係がない」と言われ,行き場を失くしてしまったという人もいます,新型コロナウイルス感染症の後遺症で診察を受ける女性患者=大阪市北区で2022年4月15日,梅田麻衣子撮影 ただ,私からみても(私の診断が正しいとは限りませんが),後述するように,なかには「本人が『コロナの後遺症に違いない』と思い込んでいるだけで,実際は別のことが原因だろう」と考えられる人もいます,他方,いつまでもレントゲン上の異常陰影が消えないとか,血液検査の値が正常化しないといった「わかりやすい後遺症」もあります,そこで,いろんなタイプの後遺症を私なりに五つのタイプに分類してみました, ・タイプ1:新型コロナに感染したのは確実で,感染時にはある程度,重症だった,感染後,長期間経過しても,画像検査や血液検査の結果に異常が残っている, ・タイプ2:感染したのは確実で,感染時はある程度,重症だった,検査での異常は認められないものの,倦怠感,抑うつ感,頭痛などが持続している, ・タイプ3:感染後,これまで落ち着いていた持病が再発・悪化する人,感染したのは確実だが,感染時に無症状だった人も重症だった人もこのタイプに含まれる,例えば,安定していた片頭痛が,新型コロナ感染後に再発を繰り返すようになった人,口唇(性器)ヘルペスが頻繁に再発しだした人,安定していたぜんそくの発作が,繰り返し起きるようになった人,などが多い,関連記事 <新型コロナ 「まともな」かかりつけ医を持とう 谷口医師講演> <新型コロナ 集中治療を受けた患者は「認知機能が20年分低下」> <新型コロナ マスク着用はいつまで続く> <新型コロナ どうする「4回目」のワクチン> <新型コロナ 「感染+基礎疾患」で死なないために> ・タイプ4:感染したのは確実だが,軽症または無症状だった,検査での異常所見はないが,倦怠感,頭痛,抑うつ感などが続いている, ・タイプ5:感染したとの診断は受けていない,抗N抗体(新型コロナに感染すると,多くの場合に血液中にできる抗体)を検査すると陰性,この抗体を検査していない場合や,本人が検査を拒否している場合もある,他の検査では異常がなく,倦怠感や抑うつ感などの症状のみを訴える,どのタイプの患者かで異なる,医師たちの姿勢 タイプ1はどんな医師でも後遺症だと認めます,そして,このような「検査で異常が認められるものだけを後遺症と呼ぶべきだ」という意見もあります, タイプ2も,多くの医師は後遺症と認めると思われます,原因が何であれ,例えば集中治療室に入ったり人工呼吸器が必要になったりするほどの重症例であれば「退院すれば元通り」というわけにはいきません,退院後もなんらかの症状がしばらく続く方がむしろ自然です, タイプ3は「後遺症とは呼ばない」という医師もいるでしょう,しかし,この「落ち着いていた持病が悪化」は非常にたくさんの患者さんが経験されています,ですから,私としては,こういった症状も「広義での後遺症」だと判断して,ポストコロナ症候群に加えるべきだと考えています, タイプ4は初診の患者さんであれば,医師からは「本当に新型コロナと関係があるのか」と一度は疑われます,もし,本当は新型コロナとは無関係な原因で症状が出ているのに,医師が「後遺症だ」と決めつけてしまえば,治療はうまくいかないわけですから,慎重を期すのは当然です,このタイプを診たときに私が「新型コロナが原因だ」と判断する一つの例は,「脱毛」「味覚・嗅覚障害」といった比較的,新型コロナに特有の症状が,診断時には消失していても,感染後しばらくは続いていたケースです, 問題はタイプ5です,「感染時にはまったくの無症状で後遺症だけが長期間残る」といった事態が本当に起こり得るのか疑問です,ですが「前の病院では『コロナは感染したときにはまったくの無症状でもその後,後遺症だけが長期間残ることはある』と言われた」と言って相談される患者さんがそれなりにいるのです,新型コロナウイルスワクチンの4回目の接種を受ける男性(左)=東京都港区芝5の港区新型コロナワクチン接種センターで2022年5月25日午前9時40分,山縣章子撮影 以前述べたように,抗N抗体が陰性であってもコロナに感染していた可能性は確かにあります,ですが,検査を拒否するようなケースでは(検査費用には健康保険が適用されず自費負担になるので,確かに抵抗はあるでしょうが)「本当にコロナに感染していたのだろうか」という疑問が残るのが正直なところです,また,過去に述べたように,新型コロナ後遺症はワクチン接種で劇的に改善することも多く(ただし余計に悪くなる人もいます),タイプ1~4の人は前向きに考えるのですが,タイプ5の人はたいていワクチンを拒否します, タイプ5の人が新型コロナに感染していたと証明することはできません,我々の視点からみれば「本当に後遺症か」という疑問は残ります,しかし,患者さんは「自分が新型コロナに感染したのは間違いない」と思い込んでいて,患者さんが間違っている証拠があるわけでもありません,よってタイプ5も,ポストコロナ症候群の一つのタイプと捉えざるを得ないというのが私の考えです,以前からいた「苦しいのに異常なし」の患者 ところで,「検査で異常が出ない + 本人は苦しんでいる + 前の病院では病気でない(または精神的なもの)と言われた」という患者さんは,実は新型コロナが登場する前から珍しくありませんでした,特に我々のような総合診療科医からみればおなじみのパターンであり
偽物ブランド 頻繁に診ています,結局は診断がつかないままいつの間にか治っていた,ということも多いのですが,診察を続けていくうちに診断がつくことがあります, 先述した「慢性疲労症候群」(筋痛性脳脊髄<せきずい>炎)もその一つですし,他にも(「全身性エリテマトーデス」などの)「膠原(こうげん)病」,「慢性炎症性脱髄性多発神経炎」などの神経疾患,「橋本病」などの自己免疫疾患,前回紹介した「多発性硬化症」,「筋萎縮性側索硬化症」や「ミオパチー」など筋肉・神経の病気,「HIV(エイズウイルス)感染症」,「結核」などがあります, 谷口医院での最近の例を挙げれば,倦怠感と軽度のせきが長引き,患者さんは新型コロナ後遺症を疑っていたけれども実際にはHIVだった,というケースがありました
スーパーコピー こういった疾患は,たいていは時間がたてば最終的には正確な診断がつくのですが,初期の段階では単なる不定愁訴とか「精神的なもの」などと判断され,患者さんが医療不信を募らせることもあります,成田空港に到着し,出迎えた添乗員と抱き合う米国からのツアー参加者,このツアーは,訪日外国人観光客の受け入れ再開に向けて日本政府が始めた実証事業の一環だ=千葉県成田市で2022年5月24日,中村宰和撮影 医師も患者も決めつけを捨てて 患者さんに不快な思いをさせたことは医師に責任があります,ですが,どのような疾患であっても初診時にすべて正確な診断をつけられる医師はいません,だからこそ医師は謙虚に患者さんの話を聞いて診察すべきなのです,一方,患者さんの側も,その症状を新型コロナ後遺症と決めつけず,「新型コロナ後遺症だと思うが他のことが原因かもしれない
ブランド激安コピー だから診察を受けよう」という気持ちを持ってもらえれば我々は診察がしやすくなります,大切なのはその原因が新型コロナかどうかではなく,その苦痛を早く取り除き元気な日常を取り戻すことなのですから, 最後に新型コロナ後遺症について,患者側からみた最大の注意点を述べておきます,自称「新型コロナ後遺症に詳しい医師」から
スーパーコピー信用できるサイト 高額なサプリメントや自費治療の点滴を勧められた場合,勧めに従うかどうかはよく考えてください,ポストコロナ症候群は原則として保険診療で治療すべきものです, <医療プレミア・トップページはこちら> 関連記事 <新型コロナ 「まともな」かかりつけ医を持とう 谷口医師講演> <新型コロナ 集中治療を受けた患者は「認知機能が20年分低下」> <新型コロナ マスク着用はいつまで続く> <新型コロナ どうする「4回目」のワクチン> <新型コロナ 「感染+基礎疾患」で死なないために> 投稿にはログインが必要です,谷口恭 フォロー 谷口医院院長 たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ,91年関西学院大学社会学部卒業,4年間の商社勤務を経た後,大阪市立大学医学部入学,研修医を終了後,タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事,同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け,帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属,その後現職,大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師,主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める,日本プライマリ・ケア連合学会指導医,日本医師会認定産業医,労働衛生コンサルタント,主な書籍に,「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社),「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社),「医学部六年間の真実」(エール出版社)など,谷口医院ウェブサイト 月額110円メルマガ<谷口恭の「その質問にホンネで答えます」>を配信中, 連載:総合診療医の視点 -命を救う5分の知識- 前の記事 新型コロナ 取り残される「免疫能が低下した人たち」 次の記事 欧米で拡大中の「サル痘」 どんな病気か 対策はどうするか 注目コンテンツ