総合診療医の視点 -命を救う5分の知識- フォロー 新型コロナ ワクチン接種にはまだ課題が多い 谷口恭・谷口医院院長 2021年4月26日 保存保存 文字 印刷 新型コロナウイルスのワクチンを接種する医療従事者(左)=名古屋市中区の国立病院機構名古屋医療センターで2021年2月19日午後4時4分,兵藤公治撮影 これまで対象者が医療者に限定されていた新型コロナウイルスワクチンの接種が,4月12日から高齢者にも開始されました,この政策は,接種できることになった高齢者からは歓迎されていますが,医療者からは不満の声が上がっています,すでに各メディアで報道されているように,コロナの患者さんを毎日のように診察している第一線の医師や看護師たちはまだ接種できていないからです,太融寺町谷口医院(以下「谷口医院」)のスタッフは近日接種できることになったのですが,地域によっては連休前後まで待たねばならないところもあると聞きます, では,医療者全員が「なんで自分たちより高齢者が先なんだ!」と不満の声を上げているのかというとそういうわけでもありません,先日,大阪府から私の元に無料通信アプリ「LINE」(ライン)で気になる通知がきました
ブランドコピー靴 そこには「4月5日に接種券付き予診票などを送付させていただいたところですが,現時点でLINE予約の空きが目立っております,※4月12日時点で,4月20日~5月7日までの予約率約20%程度」と書かれていたのです,※編集部注 予約開始1週間で埋まった枠は2割 説明しましょう,大阪府は今年1月から2月にかけて,府内の全医療機関に対し,新型コロナワクチン接種希望の有無を尋ねる調査を行いました,その調査で希望した医療者には府から予診票が送られ,受け取った医療者はLINEを用いて接種日を予約することになっていました, ですが,予約受け付け開始から1週間が経過しても,「接種を希望した」人の2割しか実際の予約をしていないというのです,これは医療者全体の2割ではありません,2月にワクチン接種を希望した医療者の2割です,もちろん,これから予約を入れる医療者もいるわけですが,予約受け付け開始日から1週間が経過しても8割が予約を入れていないということは,「2月の時点では接種するつもりだったけれど気が変わってやめた」という医療者がそれなりにいることを示唆しています, ワクチン接種を受けたいけれど受けられない医療者がいる一方で,接種希望者が予約を入れていないという現象が起こっているのです,一通りの接種終了まで何年かかる? では,仮に医療者のみならず希望者全員が接種するとすればどれくらいの期間が必要になるのでしょうか,4月18日時点の全国での累計接種回数は190万回あまり,4月12~18日時点の実績で,1日の接種回数は5万~10万回,平均7万回弱です, ワクチンの接種対象は16歳以上で,日本の16歳以上の人口は約1億1000万人です
ブランド靴コピー このうち7割の7700万人が希望するとして,2回接種しますから,延べ1億5400万回の接種が必要になります,これを7万で割ると2200日,つまり6年以上の月日がかかることになります,「ワクチンが登場したからオリンピックが開催できる」という声もあるようですが,その開催は6年後を想定しているのでしょうか, 新型コロナワクチンの有効期間を考えましょう,ワクチンを製造・販売しているファイザー社のウェブサイトによると,「2回目接種から最長6カ月後まで高い有効性があり」とされています,しかし,6カ月後に接種したくても,希望者全員の2回接種が終わるのを待たねばなりませんから,上述の計算で示したように,3回目の接種(2巡目の接種)まで6年もかかることになります,ワクチン接種を受けるお年寄り(右)=鳥取県琴浦町で2021年4月15日午後1時10分,野原寛史撮影 2回目接種後の副反応は 次に副反応についてみていきましょう,過去のコラム「新型コロナ ワクチン接種には医師も慎重」で述べたように,私が最も懸念したのは「抗体依存性感染増強現象」です,フィリピンでデング熱ウイルスのワクチン接種後に600人以上の小児が死亡したのはこの副反応のせいだと考えられています,コロナウイルスのワクチンでもこれと同じことが起こり得る可能性はないのか,という問題提起をしました,幸いなことに,コロナのワクチンでは世界中でまだこの悲劇は一例も起こっておらず,今のところ他の副反応も少数にとどまっています, しかし
ブランドコピー服 です,少数だとしても見逃すわけにはいかなくなってきました,一般にワクチンは1回目より2回目の方が副反応は強く出ます,例えば接種部位が赤く腫れて痛みが出ることは珍しくありません,新型コロナのワクチンでは,厚生労働省の研究班の調査によると,疼痛(とうつう=痛み)など接種部位への反応は,1回目も2回目も9割以上に起こっています,これは我慢できるとしても,2回目接種では35.6%に37.5度以上の発熱が生じています,そのため,事前に解熱薬を飲んでからワクチン接種を受ける医療者が多いと聞きます,関連記事 <新型コロナ 不可避でも立ち向かうワクチン差別>J <新型コロナ 「ワクチンの是非 自ら考える」 谷口恭氏講演会> <新型コロナ ワクチンを「パスポート」にする弊害> <新型コロナ 「ゼロコロナ」の言葉で気になる患者差別> <新型コロナ 高まるアジア人差別> 発熱だけではありません,2回目接種での頭痛は49.0%,倦怠(けんたい)感は67.3%です,この調査の対象者は医療者です,ですから,ある程度は自身の症状を正確に評価していると考えられます,これだけの副作用が出るとなると,もはや少数ではなく,軽度ともいえません,2回目接種後に勤務を休まねばならなかった「病休者」は6%を超えています,そして,この研究班の代表研究者が「結論」として「2回目接種の翌日に仕事するのは難しい」と発表したそうです,1回目の接種後に頭痛が悪化 前回は「さまざまなアレルギーのエピソードがあることからワクチン接種を受けたくないと考えている看護師」を紹介しました,今回は谷口医院をかかりつけ医にしている別の患者さんのことを紹介したいと思います(ただしいつものように詳細にはアレンジを加えています), その患者さんの職業は薬剤師,大きな病院に勤めています,数年前から主に片頭痛で谷口医院に通院しています,最近は複数の予防薬がよく効いて頭痛の頻度が減っており,トリプタン製剤(片頭痛の特効薬)を使わねばならないことが少なくなっていました,ところが新型コロナの1回目のワクチン接種を受けた直後から片頭痛が止まらなくなりトリプタン製剤を連日使用しなければならなくなりました,しかも薬がいつものようには効かないと言います,最近,谷口医院を受診して「2回目のワクチン接種を受けたくない……」と相談されました, 頭痛に関する研究班の報告で分かっているのは1回目接種,2回目接種でそれぞれ21.2%,49.0%に起こったということだけです,それらの頭痛がどのような種類の頭痛なのか,片頭痛をもともと持っている人ではどうなのか,といったことまでは分かりません,この薬剤師が1回目のワクチンで,しばらくは発症していなかった激しい片頭痛が起こったのは事実です,新型コロナのワクチンは自分のためだけに受けるわけではありません,接種者を増やすことで集団免疫をつけ社会全体でコロナと闘っていくことが目標です,ですから,医療者,とりわけ若い医療者はある種の「使命感」から受けているとも言えます,この若い薬剤師も「医療者として受けないわけにはいかない」と当初は考えたそうです,では,2回目も使命感から受けるべきなのでしょうか, 2回接種が不要,すなわち1回で完了するタイプのワクチンはどうなのでしょう,すでに世界中のメディアで報道されているように1回で完了するアストラゼネカ社のワクチンは,頻度は少ないながらも血栓を生じさせることから,接種対象者の年齢を制限するか,もしくは接種を中止する方向で検討されています, 私が最初に「血栓が生じた」という報道をみたときは「そんな理由で中止にすべきではない」と考えました,なぜなら,欧州人は日本人よりも血栓症を発症する確率が高く,ワクチン接種に関係なく,毎日大勢の人が血栓症を起こしているはずだからです,実際,初期には「因果関係ははっきりしない」と報道されていました,通常の血栓症とは違いそう ところが最近発表された論文を読むと,どうも通常の血栓症とは異なるようなのです,ワクチン接種後の血栓は血小板減少を伴う特殊なもので,すでに「ワクチン誘発性免疫性血栓性血小板減少症(vaccine-induced immune thrombotic thrombocytopenia;VITT)」という病名までつけられています,これは,たまたま血栓症を起こす運命だった人がワクチン接種を受けたのではなく,やはりワクチン接種を受けたことにより生じた血栓である可能性が高いといえます,また,まだ詳細は分からないものの,米国で接種が始まったジョンソン・エンド・ジョンソン社のワクチンも血栓の報告が相次ぎ,欧州への供給を当面は見合わせることが決まりました,大阪府の吉村洋文知事が緊急事態宣言の発令を政府に要請する考えを明らかにした日,JR大阪駅前を歩く人たち=大阪市北区で2021年4月19日午後6時44分,滝川大貴撮影 新型コロナのワクチンにはまだまだ課題がありますが,私自身は1回目の接種を予約しました,副反応が起こればお伝えしたいと思います, ※編集部注 編集部が大阪府に確認した結果,府内の医療従事者でワクチン接種を希望する人は約31万人,このうち4月19日現在で,接種を受けるのに必要な「予診票」の発送が終わった人は約6万人
ブランドコピーN級品 接種する日をLINEで予約した人は約半数の約3万人,ということでした,府は「予診票が手元に到着して間もない人もいるので,予約はまだ増えると思う」と話しました,なお,31万人全員に予診票を送り終わる時期は,5月半ばを目標としているそうです, <医療プレミア・トップページはこちら> 関連記事 <新型コロナ 不可避でも立ち向かうワクチン差別>J <新型コロナ 「ワクチンの是非 自ら考える」 谷口恭氏講演会> <新型コロナ ワクチンを「パスポート」にする弊害> <新型コロナ 「ゼロコロナ」の言葉で気になる患者差別> <新型コロナ 高まるアジア人差別> 投稿にはログインが必要です,谷口恭 フォロー 谷口医院院長 たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ
ブランドコピー品 91年関西学院大学社会学部卒業,4年間の商社勤務を経た後,大阪市立大学医学部入学,研修医を終了後,タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事,同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け,帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属,その後現職,大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師,主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める,日本プライマリ・ケア連合学会指導医,日本医師会認定産業医,労働衛生コンサルタント,主な書籍に,「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社),「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社),「医学部六年間の真実」(エール出版社)など,谷口医院ウェブサイト 月額110円メルマガ<谷口恭の「その質問にホンネで答えます」>を配信中, 連載:総合診療医の視点 -命を救う5分の知識- 前の記事 新型コロナ 不可避でも立ち向かうワクチン差別 次の記事 新型コロナ 関西で第4波が広がったわけ 注目コンテンツ