総合診療医の視点 -命を救う5分の知識- フォロー 新型コロナ ワクチン後の感染は「軽くすむ」か 谷口恭・谷口医院院長 2021年10月18日 保存保存 文字 印刷 緊急事態宣言が解除され,通勤などでJR大阪駅前を歩く人たち=大阪市北区で2021年10月1日午前8時46分,山田尚弘撮影 新型コロナウイルスに感染して死亡した人は1575人,しかし,そのなかでワクチンを2回接種後2週間以上経過していた人は一人もいなかった
スーパーコピー靴 これは,8月18日に大阪府で開催された第57回大阪府新型コロナウイルス対策本部会議の議事録で公表されたデータ(38ページ)です,3月1日~8月15日の期間中,陽性者は8万5325人,うちワクチンを2回接種後2週間以上経過していたのが317人,しかし,その317人で死亡者はゼロ,重症者もゼロだったのです,このデータをまとめると
ブランド時計スーパーコピー 次のようになります,なお「ワクチン2回接種後2週間以上経過」した人を「ワクチン完了者」,それ以外の人を「未完了者」と表しています, <3~5月> ・ワクチン未完了者 感染者5万2571人,うち重症1689人(3.2%),死亡1474人(2.8%) ・ワクチン完了者 感染者14人,うち重症0人,死亡0人 <6~8月> ・ワクチン未完了者 関連記事 <新型コロナ 侮れない「ワクチン接種後」の感染> <新型コロナ デルタ株対策にワクチン後もマスクを> <新型コロナ 自宅療養者の医療確保を> <新型コロナ 中和抗体検査の利点と欠点> <新型コロナワクチン「四つの視点」 谷口恭氏講演> 感染者3万2437人,うち重症326人(1.0%),死亡101人(0.31%) ・ワクチン完了者 感染者303人
スーパーコピー財布 うち重症0人,死亡0人 大阪では「完了者は重症0」だが この数字が発表された時,多くの医療者は色めき立ちました,ワクチンの効果が極めて高く,感染しても重症化や死亡は少なくて済む,という可能性が,客観的な数字として示されたからです ところが,その後状況は少しずつ変わってきています,はっきりとした報告は(私には)確認できていないのですが,どうもワクチン2回接種後2週間以上経過していても,重症化,そして死亡する事例が全国で相次いでいるらしいという話を,医療者から聞くようになってきたのです,大阪のデータでも,完了者は感染した人数が少なく,重症や死亡の少なさは偶然だという可能性もあります,新型コロナウイルスワクチンの集団接種会場で,接種を受ける外国人住民=茨城県常総市新石下の市石下総合福祉センターで 9月17日,米疾病対策センター(CDC)は,ワクチン接種が完了している人としていない人で,感染,入院,死亡にどれだけ差があるかのデータを公表しました,調査されたのは米国の13の地域,調査期間は2021年4月4日~7月17日で,結果は下記の通りです, ・ワクチン未完了者 感染者56万9142人,うち入院3万4972人(6.1%),死亡6132人(1.1%) ・ワクチン完了者 感染者4万6312人,うち入院2976人(6.4%),死亡616人(1.3%) かかりにくいが,かかれば死亡率は同じ? まず感染者数をみると,未完了者の方がずっと多いことが分かります,とはいえ,その差がそのままワクチンの効果,とはいえません,対象地域の住民に未完了者が多ければ,感染者も多くなって当然だからです,CDCは各地域の接種率など各種の要素を考慮した上で「未完了者が新型コロナに感染する率は,デルタ株があまり広がっていなかった6月19日までは,完了者より11.1倍高く,デルタ株が広がった同20日以降でも4.6倍高かった」と分析しました, 次に死亡率に注目してみましょう,ワクチン未完了で感染したのが56万9142人,そのうち死亡したのが6132人ですから,死亡率は1.1%です,他方,ワクチン完了者は死亡率1.3%でした,ということは,ワクチン接種で感染を大きく抑えられたとしても,いったん感染すれば死亡率は変わらない(むしろワクチン完了者の方が高い)ということになります, これは意外な結果です,太融寺町谷口医院の経験で言えば,そして冒頭で述べた大阪府の報告に鑑みれば「ブレークスルー感染は軽症で済む」という印象があります,しかし,米国のデータから言えることは
ブランドコピーN級品 「たしかにワクチンを完了していれば感染も死亡も減らすことができるが
ブランドコピー品 ブレークスルー感染の死亡率は低くない(むしろ高い)」ということになってしまいます, はたしてこれは真実なのでしょうか,確実に言えるのは「(当然ですが)コロナに感染しなければコロナでは死亡しない」ということ,そして「ワクチンを受ければ感染する確率が下がる」ということです,よって,結果として「ワクチンを受ければ死亡する確率も下がる」のは事実です,しかし,ワクチン完了後にいったん感染してしまえば,つまりブレークスルー感染を起こせば,重症化及び死亡の確率を減らすとは言えないことを米国のデータは物語っています, では,大阪府と米国ではなぜこのような違いが生じるのでしょうか,私は三つの仮説を考えてみました, 一つはデルタ株です,大阪でも7月にはすでにデルタ株が流行していましたが8月中旬以降も続いていました,大阪府のデータは8月15日までですから,調査期間をもう少し長くすれば,大阪府でもワクチン完了者のデルタ株による死亡者がそれなりの人数になった可能性があります(ただし,8月16日以降のデータは私が調べた範囲では公表されていませんでした), 二つ目の仮説は「ワクチンの有効性の人種間差異」です,米国のデータでは人種ごとの比較がなされていませんが,例えば,アングロサクソン系,ヒスパニック系,アフリカ系ではブレークスルー感染でそれなりの人数が死亡するけれどもアジア系は死なない,といったことがあるのかもしれません, 三つ目の仮説は「ワクチンの有効期間」です,大阪府(日本)に比べると,米国の方が一般人に対するワクチン接種が早く開始されました,米国では昨年(2020年)の12月からワクチン接種が開始され希望者の大半は4月には終わっていました,一方,大阪府では,一般人へのワクチン接種が開始されたのは4月中旬,しかも開始当初は人数が制限されており,なかなか普及が進みませんでした, ということは,米国で死亡者が多いのは時間がたってワクチンの効果が下がっていたから,という可能性が出てきます,ただし,CDCのデータでは4月4日~6月19日までのブレークスルー感染の死亡率は1.82%(感染者2万3503人のうち428人が死亡),6月20日~7月17日は0.82%(感染者2万2809人中188人が死亡)で,時期が遅い方が死亡率が低く,この仮説を主張するには無理があります, 結局のところ,大阪と米国のデータの差,つまり大阪ではブレークスルー感染で死者が出なかったのに,米国では(感染率は抑えられるものの)感染すればワクチン未接種者と死亡率は変わらない理由は依然不明のままです,ということは,「大阪人は安心」などと高をくくって楽観的になるのは禁物でしょう,「3回目接種」は広げるべきか では,「ワクチンの3回目を接種すればさらに感染しにくくなる,たとえ感染しても重症化しにくくなる,そして死亡する可能性は大きく減少する」という期待はできるのでしょうか,現在,海外では英国を筆頭にワクチン3回接種が開始され,米国でも今後広がる見込みです,会場に設けられた本格的なバーカウンターで,新型コロナウイルス流行前と同様に酒を楽しむ人たち=英ロンドンで2021年9月,横山三加子撮影 しかし,その一方で,世界保健機関(WHO)は「現段階での焦点は,1,2回目のワクチン接種を受けた人を増やすことである(だから当面,3回目接種はすべきでない)」と発表しています, また,医学誌「LANCET」には,18人の著者による論文が9月13日に掲載されました,この論文は「3回目接種をするなら,するのがよいという証拠が必要だ」と訴えます, WHOも「LANCET」の著者らも「3回目接種によって得られる利益より,まずは1回目,2回目を接種していない人たちにワクチンを供給する方が,全体として有益だ」と強調しています,これは単に人道的な観点からだけの話ではありません,ワクチン先進国にとって畏怖すべきは,流行地域で新たな変異株が生まれることです,したがって,可及的速やかに世界全体にワクチンを広めることで全体の感染者数を減らして変異株出現のリスクを下げる方が,トータルでみれば有益だと考えられるのです, 結局のところ,我々はコロナのことがまだよく分かっていないのかもしれません,ワクチンが短期間は有効なのは間違いないでしょうが,いつまで効果が続くのか,ブレークスルー感染では重症化する可能性は低下するのか否か,ワクチンの追加接種は必要なのか,必要なら定期的に受けなければならないのか,などについてはまだ答えが出ていないと考えるべきではないでしょうか, <医療プレミア・トップページはこちら> 関連記事 <新型コロナ 侮れない「ワクチン接種後」の感染> <新型コロナ デルタ株対策にワクチン後もマスクを> <新型コロナ 自宅療養者の医療確保を> <新型コロナ 中和抗体検査の利点と欠点> <新型コロナワクチン「四つの視点」 谷口恭氏講演> 投稿にはログインが必要です,谷口恭 フォロー 谷口医院院長 たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ,91年関西学院大学社会学部卒業,4年間の商社勤務を経た後,大阪市立大学医学部入学,研修医を終了後,タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事,同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け,帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属,その後現職,大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師,主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める,日本プライマリ・ケア連合学会指導医,日本医師会認定産業医,労働衛生コンサルタント,主な書籍に,「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社),「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社),「医学部六年間の真実」(エール出版社)など,谷口医院ウェブサイト 月額110円メルマガ<谷口恭の「その質問にホンネで答えます」>を配信中, 連載:総合診療医の視点 -命を救う5分の知識- 前の記事 新型コロナ 中和抗体検査の利点と欠点 次の記事 新型コロナ 開発中の内服薬の実力は 注目コンテンツ