総合診療医の視点 -命を救う5分の知識- フォロー 新型コロナ デルタ株対策にワクチン後もマスクを 谷口恭・谷口医院院長 2021年8月16日 保存保存 文字 印刷 お盆休みが始まる中,例年より少ない東海道新幹線の利用客=JR東京駅で2021年8月7日午前9時43分,前田梨里子撮影 本連載で初めてインド株(=デルタ株)について取り上げたのは5月17日の「新型コロナ 猛威を振るう『インド株』」です,このときにはインドの凄惨(せいさん)な状況を伝え,さらにインド製のワクチンを2回接種してからの感染が少なくないこと,ファイザー製及びモデルナ製のワクチンのデルタ株に対する有効性についてはよく分かっていないことなどを述べました, 前回のコラム「新型コロナ インドネシアで子供も重症化し死亡」では,現在デルタ株が最も猛威を振るっている国のひとつであるインドネシアを取り上げ,成人のみならず小児の死亡者が増えていることをお伝えしました,医師も次々と死亡 今回はそのインドネシアで医療者が次々と亡くなっている惨状をまず紹介したいと思います, ロイター通信によると,7月1日から17日の間に合計114人の医師が新型コロナで死亡しました,同国ではコロナ流行以来,合計545人の医師が死亡していますから,この期間での死亡者は全体の2割以上になります,同国では医師の95%がワクチン接種を完了しているそうです,つまり,ワクチン接種が完了してからの死亡者が急増しているわけです,なお,同国では駐在員など在住日本人も次々に死亡していることが報道されています, インドネシアで流通しているコロナワクチンは中国製のものです,どうやら,中国製ワクチンはデルタ株への有効性は高くないと言えそうです
ブランドコピー通販 では,ファイザー製やモデルナ製はどうなのでしょうか,新しい情報をまとめてみましょう, ワクチンの有効性を検討するのには中和抗体の値をみるのが適切です,実際には,中和抗体だけでなく,抗体以外の免疫(細胞性免疫と呼ばれます)についての有効性も検討しなければならないのですが,同じ条件で各ワクチン接種後の中和抗体の値を比較することには大きな意味があります, 医学誌「The Lancet Microbe」2021年7月15日号に掲載された論文「新型コロナウイルス感染症に対するmRNAワクチンと不活化ワクチンの免疫原性の比較(Comparative immunogenicity of mRNA and inactivated vaccines against COVID-19)」は,mRNA(ウイルスの遺伝子の一部)を使ったワクチンと,不活化ワクチン(感染力を失わせたウイルスを使うワクチン,中国製)について,接種後の中和抗体の値を比較検討しています,ここで検討されているmRNAワクチンは,ファイザー社製と同様のワクチンを,同社と協力しているドイツ・ビオンテック社が製造し,中国・Fosun社が販売しているものです, 本研究の対象となったのは,香港の公立及び私立病院,診療所に勤務する1442人の医療従事者のなかで採血データのそろっている93人です
コピーブランドバッグ ワクチン接種前,初回接種後,2回目接種後の抗体価が調べられています,結果,mRNA型ワクチン接種後は,不活化ワクチン接種後に比べて,中和抗体の値が大幅に上昇していることが分かりました,mRNAワクチンはデルタ株にどれだけ効くか 次に,実際にmRNA型ワクチンがデルタ株にどれくらい有効なのかに関する最新の知見をみていきましょう,医学誌「The New England Journal of Medicine」2021年7月21日号に掲載された論文「デルタ株に対する新型コロナワクチンの有効性(Effectiveness of Covid-19 Vaccines against the B.1.617.2 <Delta> Variant)」を紹介します,この研究は英国公衆衛生局(Public Health England)が協力しています,つまりメーカー独自の研究ではなく公正さが担保されているものです,ファイザー製ワクチンを2回接種した場合,1回接種での有効性は30.7%と低かったものの2回目接種では88%と高率を示しました, しかし,イスラエルの研究ではこれほど高くないことも報道されています,7月23日のWall Street Journalの記事「ファイザー製ワクチンはデルタ株に対して効果が低いが,それでも重症化を予防するとイスラエルの研究が示唆している(Pfizer Covid-19 Vaccine Is Less Effective Against Delta Infections but Still Prevents Serious Illness, Israel Study Suggests)」は「イスラエル保健省によると,ワクチンは感染リスクを39%減らす効果しかない,しかし,重症化を防ぐという意味では91%の効果があった」と報じています,関連記事 <新型コロナ インドネシアで子供も重症化し死亡> <新型コロナ インドネシア,もろい医療 新規感染,一時5万人超す 自宅で死亡,ボランティアが納棺> <新型コロナワクチン「四つの視点」 谷口恭氏講演> <新型コロナ ワクチンを「パスポート」にする弊害> <新型コロナ 後遺症の頭痛は諦めず治療を> エルサレムの目抜き通りを歩く人々=2021年4月28日午後0時5分,三木幸治撮影 別のデータをみてみましょう,イスラエルが「91%の効果で重症化を防げる」と公表している一方で,米国のテレビ局CNNは,8月1日「米疾病対策センター(CDC)によると,ワクチン接種を完了した米国人の約99.999%は死亡していない(About 99.999% of fully vaccinated Americans have not had a deadly Covid-19 breakthrough case, CDC data shows)」という記事を掲載しました,CDCによれば,入院が必要な兆候が表れたのはワクチン接種を完了した人の0.004%未満で,死亡者は0.001%未満です, ワクチン接種を完了していても感染することを「ブレークスルー感染」と呼びます,ブレークスルー感染が起こっても重症化を防ぐことができ,さらに,ワクチンを打った人が感染で死亡する確率が0.001%未満なのであれば,ワクチンさえあれば元の世界に戻れそうです,ですが,実際にはそういうわけではありません,なぜなら,全員がワクチン接種をするわけではなく,接種率はほとんどの国で伸び悩んでいるのが現状だからです, 「ワクチン接種を受けない自由を選んだ人たちはマスク・手洗いなどで予防すればいいだけの話,ワクチン接種者はマスクを外して元の生活に戻ることができる」という意見があります,しかし,この意見が正しいと主張するのであれば,ブレークスルー感染者が感染しても重症化しないことに加え,ワクチン未接種者に対して感染させないことも示さなければなりません,接種後でも感染し他人にうつす可能性 では実際はどうなのでしょうか,「ブレークスルー感染者もワクチン未接種者が感染したときと同じ程度にウイルスを拡散させている」が正しいようです, 8月6日のCNNの記事「CDCの長官によると,ブレークスルー感染者もウイルスを感染させる可能性がある(Fully vaccinated people who get a Covid-19 breakthrough infection can transmit the virus, CDC chief says)」によると,CDCのRochelle Walensky氏は,「ブレークスルー感染でも他人に感染させる可能性がある,そのため外出時にはマスクが必要だ」とコメントしています,さらにCDCが米国で行った研究から,ワクチン接種後に感染した人も,未接種で感染した人も,体内のウイルスの量はほぼ同様であることがわかりました,非営利組織「ブロンクス・ライジング・イニシアチブ」が設けた会場でワクチン接種を受ける男性=米ニューヨークで2021年6月25日,隅俊之撮影 そしてCDCは「ワクチン接種を完了した人も,感染者が多い地域で
ブランドコピー最高N級 屋内で公共の場にいる時はマスクを着けて」と呼びかけるガイドラインを,7月27日に出しました,以前は「接種を完了した人同士ならマスクなしで会える」というガイドラインを出していた(新型コロナ ワクチン接種でマスクは外せる?)のですが,これは変更され,すでにCDCのウェブサイトから消えています, 以上をまとめると,デルタ株に対するワクチンについて次のことが言えそうです, ・mRNAワクチン(日本ならファイザー製とモデルナ製)は,中国製などの不活化ワクチンよりも有効性が高い,不活化ワクチンではデルタ株を防げない ・2回のmRNAワクチン接種を受け終えた後でも感染することは少なくない,ただし重症化を防ぐという意味ではかなり有効 ・ブレークスルー感染した場合も,未接種者が感染したときと同様に他人に感染させる可能性がある,そして,日本を含む世界中でワクチン接種率が伸び悩んでいる ・したがって,ワクチン接種を完了しても他人への感染を防ぐ目的でマスクの着用は必要 過去のコラム「新型コロナ ワクチン接種後もマスクを使う理由」で述べたように,ワクチン接種完了者が増えたことにより,国や地域によっては「マスクを外す」方向で世の中が再開しつつありました,しかし,上述のCDCの発表により世界の動きは再び「マスク着用」に向かい始めたのです,マスク姿でミナミの繁華街を歩く人たち=大阪市中央区で2021年7月30日午後7時1分,望月亮一撮影 私個人の意見を述べると,我々人類が新型コロナを克服するには次の三つのうち最低でもいずれかひとつの達成が不可欠です, #1 ワクチン以外に画期的な「特効薬」が登場する #2 ワクチンを世界中のほとんどの人々が接種する #3 世界中の7割程度の人が3回目の接種をする #3については,「接種2回では不十分でも3回接種すれば抗体価がさらに上昇する」という研究が複数あり,これを達成できるとマスクが外せる日が来るかもしれません,ですが,まだ1度目の接種も受けられない国民が多い国も多数ありますし
スーパーコピー財布 3回接種後のブレークスルー感染が今後起こり得ないとも限りませんから,楽観はできません, しばらくの間は従来通り「他人と屋内で接する時はサージカルマスクを装着する・させる」を原則にするのが最善の対処法だと私は考えています, <医療プレミア・トップページはこちら> 関連記事 <新型コロナ インドネシアで子供も重症化し死亡> <新型コロナ インドネシア,もろい医療 新規感染,一時5万人超す 自宅で死亡,ボランティアが納棺> <新型コロナワクチン「四つの視点」 谷口恭氏講演> <新型コロナ ワクチンを「パスポート」にする弊害> <新型コロナ 後遺症の頭痛は諦めず治療を> 投稿にはログインが必要です,谷口恭 フォロー 谷口医院院長 たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ
新作ブランドコピー 91年関西学院大学社会学部卒業,4年間の商社勤務を経た後,大阪市立大学医学部入学,研修医を終了後,タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事,同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け,帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属,その後現職,大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師,主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める,日本プライマリ・ケア連合学会指導医,日本医師会認定産業医,労働衛生コンサルタント,主な書籍に,「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社),「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社),「医学部六年間の真実」(エール出版社)など,谷口医院ウェブサイト 月額110円メルマガ<谷口恭の「その質問にホンネで答えます」>を配信中, 連載:総合診療医の視点 -命を救う5分の知識- 前の記事 新型コロナ インドネシアで子供も重症化し死亡 次の記事 新型コロナ 新しい抗体医薬は「特効薬」になるか 注目コンテンツ